【休職】復職支援プログラム(リワークプログラム)ってなに?

福祉

筆者は精神的な疾患で仕事をしばらくの間休んでいました。

その間は、自宅での休養と『復職支援プログラム(リワークプログラム)』に参加して仕事復帰のためにリハビリを行ってきました。

今回は『復職支援プログラム(リワークプログラム)』についてご紹介したいと思います。

休職とは

”仕事を休む”と言ってもいくつか種類があります。

労働者の権利である年次有給休暇は、法律で定められた休暇です。雇い入れの日から数か月継続して勤務&全労働日の8割以上の出勤が条件で付与さえます。

そのほかには”欠勤”もありますが、有給休暇と違って『無給』の休暇です。年次有給休暇が付与されていない労働者や年次有給休暇を使い切ってしまった労働者が風邪をひいたり、その他の理由で仕事を休む時は『欠勤』として扱われるでしょう。

風邪で欠勤が1日や2日となればそこまで問題にはなりません。

しかし、骨折やうつ病などの精神的な疾患で、長期間労働ができないこととなれば話は別です。

そのような場合に会社の「休職制度」を利用して『休職』という形をとることも多いです。

休職制度は法律で定められたものではなく、会社の就労規則で定められます。会社の就労規則に休職について明記されていない場合は、会社側と交渉することになるかと思います。

休職は労働者側に働く意思があるが働けない状態で、雇用契約は維持したまま業務を休むことです。

この働けない状態とは、業務外での疾病や怪我などが考えられます。大企業ではボランティアや留学も休職制度の対象となる企業もあるようです。

怪我や傷病で長期間休む必要が出た場合に、有給休暇を先に使うのかどうかは就労規則や職場の担当者次第になるかと思います。

復職支援プログラム(リワークプログラム)とは

復職支援プログラムを実施している機関は、”病院””地域障害者職業センター””各企業”の3種類あります。対象者や費用等は異なります。

病院で復職支援プログラムに参加する場合は、治療の一環としてプログラムに参加する事が多いため、医療保険の適用となる場合が多いです。また、精神科デイケアの一つとして復職支援プログラムを実施している病院もあります。

精神科病院で復職支援プログラムに参加する場合は、自立支援医療の対象となる場合もあるため、主治医や病院のソーシャルワーカーに相談してみましょう。

復職支援プログラムを実施している機関はまだまだ少ないのが現状です。

復職支援プログラムの参加は、休職者本人が希望してプログラムに参加する場合もあれば、主治医や看護師などの医療従事者からの勧めもあります。

企業によっては、復職の条件として復職支援プログラムの参加することと条件を提示しているところもあるようです。その場合は、企業からどこの復職支援プログラムに参加するようにと指示を受ける場合もあります。

復職支援プログラムは何するの?

復職支援プログラムは、基本的に午前のプログラムと午後のプログラムと1日2つのプログラムに分かれていることが多いです。午前中から午後にかけて行うのは、仕事をしている時間にプログラムに参加する事で、生活リズムを整えることが目的の一つとなっています。

では、具体的に復職支援プログラムではどのような内容を実施しているのでしょうか。

(1)ミーティング

復職支援プログラムでは、同じような精神的な不調により休職した人とグループで実施します。そこでは、なぜ休職することに至ったのか、自分の症状はどのようなものなのか、休職してからの生活についてなど、様々なテーマを話し合います。

同じような境遇で参加している方が多いですが、考え方は皆さんそれぞれで、他参加者の話や意見を聞いたりディスカッションすることで、自分では気づかなかった気付きを発見することができます。

(2)自己覚知

自己覚知』とは簡単に言うと「自分を詳しく知る」ことです。自分自身のことは自分が一番わかっていると思いがちですが、自分自身が知らない”自分”をプログラムを通して知る事ができます。

復職支援を実施するスタッフから、プログラム参加者に課題が与えられます。その課題(作業)を取り組むことで、「分からないことがあっても、自分でどうにか解決しようとする傾向がある(他者に頼れない)」とか「自分では普通に課題に取り組んでいるつもりでも、他者から見ると『余裕がない』ように見られていた」など自分がしらない自分を知る事が出来ます。その知らなかった自分を知る事で、休職に至った「個人因子」を見つけることができます。

そのことで、復職した際の再発防止を考えたり、仕事の取り組み方を考えるきっかけになります。

(3)ストレス対処

ストレスの対処方法を身につけないまま復職してしまっても、再発してしまい仕事ができなくなる可能性もあります。自分自身がどのような『思考の癖』を持っているのかを把握し、認知行動療法やマインドフルネスなどのストレス対処の方法を学びます。

(4)コミュニケーション技術

コミュニケーション技術は、アサーショントレーニングやソーシャル・スキル・トレーニング(SST)などを通して身に着けていきます。

職場での対人コミュニケーションの問題を解決していくことにより、復職後の対人関係による悩みやストレス軽減を図っていきます。

(5)オフィスワーク

オフィスワークでは、実際に仕事をするわけではありません。実際の仕事に似た作業を行うことで集中力を高めたり、復職した際の体力を戻すリハビリの一環でもあります。

オフィスワークのプログラムに自分を見つめ直すことを取り組んだり、資格取得の勉強や読書をする方もいらっしゃいました。

このこと以外にも、栄養指導やリフレッシュの一環として園芸作業や体力向上プログラムなど様々なことを取り組みます。

内容やどのくらいの期間プログラムに参加するのかは実施機関によって様々ですので、もし利用を検討される場合は、実施機関に直接尋ねてみてください。

復職支援プログラムを受けるメリット

では、復職支援プログラムを受けるメリットをご紹介していきます。

(1)休職に至った原因(特に個人因子)を知る事ができる

休職して自分なりに過ごすだけでは、休職に至った根本的な原因を見つけて、解決することは大変です。なぜなら、休職になった時の自分を俯瞰的に見直さないといけないからです。

俯瞰的に見ることは言葉で言うと簡単でありますが、実際に取り組もうとするととても難しいです。また、物事を自分を通して見ると、他者から見た物事と違っていることもよくあります。

支援してくれるスタッフの方や同じ境遇の参加者からはどのように見えているのか意見を聞くことは、自分と違った見方である可能性もあり、休職に至った根本的な原因を見つけることができる可能性が高くなります。

(2)復職する際に職場からの印象が良い

もし、あなたが休職している人を職場復帰させるかどうかを判断する際に、自分なりに治療している人と、専門的な治療に取り組んでいる人とでは、どちらが復職させたいと思いますか?

やはり後者ですよね。

また実施機関によっては、休職者と雇用主の間に入って連絡調整をしてくれる機関もあります。場合によっては、復職支援を行っている機関から、休職者の状況を第3者の視点から雇用主に報告してくれるところもあります。

雇用主からすれば、専門的な視点から助言をしてくれることによって、復職する際に参考にもなるし、「頑張っているんだ」と好印象を受ける可能性も高まります。

(3)成長することができる

復職支援プログラムの取り組みは、コミュニケーションについてや心理教育なども実施され、どの分野で働いていてもためになる事ばかりだと思います。

公認心理士を始め、作業療法士や精神保健福祉士などの専門スタッフから助言・アドバイスを受けることができるのは、復職支援プログラムに参加している人の特権だと思います。

復職支援プログラムのデメリット

復職支援プログラムを受けることはとても良いことだと思いますが、気を付けないといけないといけないことがいくつかあります。

(1)他者の体調不良に影響を可能性がある

復職支援プログラムに参加する方は、全員が何かしらの精神的な疾患が原因でプログラムに参加している人が殆どです。

復職支援プログラムに参加する方は、全員が何かしらの精神的な疾患が原因でプログラムに参加している人が殆どです。

復職支援プログラムに参加する方は、ある程度症状が落ち着いた人が参加しますが、中にはプログラムに参加している時に体調を崩す方もいらっしゃいます。そのような人を見て「自分も体調が悪くなったらどうしよう」と考えてしまう事もあります。また、何気ない自分の一言で相手が体調を崩してしまったりした時に、自己嫌悪が出てしまうことも考えられます。

優しさのあまり、人のことを気にしすぎてしまうと、気が付けば自分も体調不良になっていた事もあり得ますので気を付ける必要があります。

(2)費用がかかる

費用が掛かることは避けることができません。しかし、精神科病院の復職支援プログラムに参加する場合は、自立支援医療の対象になりますし、市町村によっては助成をしてくれる場合もあります。

費用面で気になるときは、実施機関に相談してみてください。

復職支援プログラムを受けて私が感じたこと

私(筆者)も4か月の復職プログラムに参加しました。

結論から言いますと、復職支援プログラムを受けて大変良かったと思っています。休職した方は是非復職支援プログラムに参加してほしいと思いましたが、復職支援プログラムを実施している機関は大変限られてしまいます。自宅から復職支援プログラムを実施している精神科病院まで車で行ける距離に住んでいて本当によかったと思っています。この復職支援プログラムを実施する機関がもっと増えていってほしいとも感じました。

復職したらそこでゴールではないと思っています。復職したら再発しないように心がけなければなりません。うつ病などの精神疾患は誰でも罹る病気であると同時に、再発しやすい病気でもあります。そのためには、復職支援プログラムに参加したことを定期的に見直して自分を見つめ直す(セルフメンテナンス)を行うことも大切だと感じています。

この記事を読まれている方の中には、休職して自分自身を責めてしまっている人もいるかもしれませんが、決して責める必要もありませんし、恥じる必要もないと思います。

ゆっくりいきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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